元二次オタ潤担の戯れ言

元二次・声オタの人が嵐を好きになったという備忘録

となりのチカラを無駄に掘る

松本潤さんのファンです



※独断と偏見と圧倒的自己解釈しかありません※
※心理学的に基づいてることなども何一つありません※




となりのチカラ
オタク的にはお得増し増しなドラマでした……!

・ビジュアルが可愛い
・仕草がいちいち可愛い
・ビジュが可愛い
・声が可愛い
・ビジュが可愛い

まあとにかく前髪ありでふわふわしてるビジュアルがとにかく可愛かった。
そういうことも踏まえつつ偏った思考で書いていきますので、よろしくお願いします。



項目は以下
①チカラくんの生い立ち
②チカラくんの自己肯定力と自我
③チカラくんの心の声って本当にチカラくんのもの?

◆とりあえず中越夫婦の可愛さを書かせてくれ




①チカラくんの生い立ち

この話はとにもかくにも中越チカラの過去に全て起因するんですよ!

まず2話でサラッと主人公のパートナーから明かされる重すぎる過去。あまりのアッサリさに、これを勝手にこっちで深読みしていくのかと思ったら最終話の最後の最後にまで語られてビビった。


高校生 母親が病死、父親が後追い自殺

大学生 アカリちゃんと出逢う(片想い)

23~24 アカリちゃんと再会、ファミレスで朝まで話す

同上  わりとすぐ結婚(結婚して15年が#7)

25~26 愛理生まれる


チカラくんを38~39というところにおいたのは潤くんが38なので、そのくらいかなと。あと逆算するとここがギリギリ



高校生重すぎる
そのわりにスーパーリア充街道走ってやがる……まともに仕事してないのに……!
きっとそれだけ互いが互いにしたことが響いたということなのでしょう



父親の後追い自殺

つらすぎません?これを本人が本格的に触れ出すのは折り返し話数あたりですよ。信じられるか?


可哀想なことにチカラくんは高校生にして親に捨てられます。

 母親 > 息子

これを突きつけられる。
義務教育が終わってるとはいえ今ほど調べられる術もそんなにない時代に、未成年が一人残される。
それぞれの祖父母はどうしてるんだ、ってところも考えたんですが、託也くんの話で一切出てきていない上に語り口からするとチカラくんはちょっと天涯孤独感あるんですよねぇ…………。

チカラくんの身内たる身内は今の中越家のみ。
チカラくんの話を聞いてくれる人はアカリちゃんのみ。



そんな状態でどうやって大学進学して、何故作家を選んだのか。
作品上のご都合設定と言われればそれまでだけど、気になってしまうところ。

本が好きでそういう関係のバイトを出版でしてて雑用で取材についていっていたりして……とか。
アカリちゃんのバイトから社員パターン。
似た者夫婦だから有り得る。



とにもかくにも、チカラくんのお節介の理由は2話でアカリちゃんが話していた通りなんでしょう。


「母親を亡くして失意の底にいた父親をそっとしておいたら自殺してしまったから」


本人は最終話で「わかんない」と言っていたけど、2話で早々にアカリちゃんが言っちゃってるんですよね。


最終話で「妻を亡くして失意の底にあり自殺を考えていながらに死にきれずにいた男(603号室・小日向さん)」に父親を重ね、その小日向さんを救えたことは “救い” だったはずなんですよ。
今まで色んな人に声をかけ続けてきたチカラくんだけど、本当の意味で罪の意識から救われたのは、「父親」を救えたところになる。
だから最終話が小日向さんでないとならなかった。



でもね、これチカラくんの思い込みも入ってる。
チカラくん自身だって実の母親を亡くしてるんですよ。高校生で母親が帰らぬ人になるって、例え父親だとしても人に声かける余裕なんてあるわけがないんですよ。

「父親の気持ちもわかるからそっとしておいた」

っていう「そっとしておいた」は、チカラくんの後付けの記憶なんじゃないかと思います。

「置いていかれた/捨てられた」と思うよりは「自分が声をかけなかったから悪い」と自分に対して罪の意識を重ねることで、ただ無条件に自分より母親を選んだとしたくなかった。

“自分が悪い” から父親は自殺した

この方がチカラくんにとっては心を防衛するためには良かったということ。
これがチカラくんの “呪い” 

チカラくんがこの呪いを解消してきたことにより何故自分が声をかけてしまうのか「わかんなくなった」が最終話。
発端はやはりアカリちゃんが託也くんに教えたことに全てが詰まっているでしょう。



にしてもチカラくん、よくさらに後追い自殺しませんでしたよね……。





②チカラくんの自己肯定力と自我

「アカリちゃんの子どもだからいい子に決まってる」

この「えっ、もしかして再婚のアカリちゃん連れ子!?チカラくんの実の子どもではない!?」と物議をかもしまくったチカラくんの言葉。

アカリちゃんは「子どもは母親が育てるものだと思っている潜在意識の表れ」としていたけど、バッキャロそれだけでこんな発言になるわけないだろ!!ということを前提として進めます。



どれだけ母親が育てるものだと思っていたとしても、ここまで他人行儀になってしまうのはなかなか異常。名前だって愛理も高太郎もチカラくん由来なんですよ?
愛理→チカラくんの好きな音楽
高太郎→チカラくんの好きな詩


まずチカラくんは自己肯定の要素がほぼない。

ゴーストライターとはいえ一応それで定期的に仕事をして大御所歌手のゴーストだってしているくらいには編集から信頼されているにも関わらず、


「話を聞くことならできる。他にはなにもできない」


こんな主旨のことを折々で言う。
ゴーストライターって別に「話をひたすら聞いてられる」から成立するってわけでもないんですよ。
(そもそも、チカラくん話聞いてる間たまに他のこと考えてますが?)



自分に父親としての自認がないというか、そもそも他者との関係において自分の存在がないような。

人に捨てられたという“呪い”と、その捨てた人が“父親”であるということで、一層踏み込みきれずにいるのでは。



ただ家事育児において戦力不足であるとか、家族にちゃんと目を向けきれていないとか、そういうレベルではないんですよ。




ちなみにこれが本当にアカリちゃんの言う通り「子どもは母親が育てるものと思ってる潜在意識の表れ」のためだけの発言だったとしたら何かちょっとセリフが悪い。




で、これはつまり自我の薄さにも繋がるんですが、話が進むにつれてチカラくんは2つ無意識下で変わります。


1つは「心の中の声が抑えきれなくなること」

もう1つは「書いているゴーストライターの原稿に自分の主張が入り始める」


自分というものを表に出し始めるってことは、出せるだけの自我とそれを肯定するだけの自信が芽生えたってことなんですよね。
ちなみにここにおいての自我はチカラくんの信念とか主義とか、そういう柱になりそうなもののことです。


このチカラくんの自信に繋がっているのは「おとなりさんを助けられたこと」
当然ここになるわけです。



自分の能力は「人の話をきくこと」だというのに、チカラくんは住民を助けるときに必死になって「自分の意見」を言葉という形にしてみんなに渡します。

「自分の意見」には人を変えることが出来る、人を助けることが出来るとチカラくんは思ってしまったわけなんですね。
(これ自分が言葉を尽くせば父親を救えたのかもしれないという根拠のない深みにハマりそうだけども)


その果てに、自我を徐々に表に出していくということに繋がる。

そしてそれを確立させるに至った相手がおとなりさんだったがために、妻や子どもから目が離れていき、ついには妻に出ていかれる。



チカラくんは最終話に向けて、話数半分で獲得したそれを今度は手放していくんですよね。

え?じゃあチカラくんは最終的に手放してなにもなくなってしまうのかい!?

……とはもちろん最終回のチカラくんをみたらならないでしょう。


そう、チカラくんは「最初から自分にあった力」を「他人にとって必要になる自分の能力」として認められるようになるのです!


最初アカリちゃんに対して発揮した「人の話を何時間でもきくことができる」という能力は、チカラくん自身認識はしていても、それが他者から必要とされる能力だとは思っていなかった。
つまり自分を肯定し自信に繋げることが出来るような能力だとは思ってなかったんです。

それを見落としたまま勘違いしていたことを、アカリちゃんがちゃんと拾い上げてチカラくんに返して、さらに「それは私にとって大切な、チカラくんの好きなところだよ」と伝えて自認させた。


とにかく話を聞いてもらえれば楽に出来るという成功体験がチカラくんを良い方向に進める。

プラスα、チカラくんには伝える能力があることも、奇しくもずっとチカラくんの原稿をみてきた編集とアカリちゃんに気づかされてエンドです。




9話通して、チカラくんは元々持っていたものをちゃんと自分の武器として扱えるようになった。
そういう成長を果たしたということになりますね。





③チカラくんの心の声って本当に全部チカラくんのもの?


最後ねこくん(ナツメ)が向かいのカフェから家出していただけの子だったことが判明するんですが、こうすると全部が全部チカラくんの心の声だけだったんだろうか?

という疑問がわき出てきてしまう!悪い癖!

概ねはちゃんと感情をたどっているにしろ、マンションの外で起きたことはどうだろう……と思うところがあります。

何か根拠があるってことでもないんですが、チカラくん自身の声でいけなかったことはなんなのだろう?というところは考えてしまいますね


でもこれは一生判明しない





◆とりあえず中越夫婦の可愛いところを語らせてくれ

放送中にツイッターでは再三言ってたんですが、本当に似た者同士の夫婦なんですよね。
可愛いね。

ド頭から旦那・父親としては「オイオイオイオイ」と思う言動がそれなりにあるんですけど、でもアカリちゃんはそこは全部許してるし、チカラくんのいいところだし、凄い好きなんですよね。


え、かわ……


それ許すんだ?とか、そこはいいんだ!?
このオンパレード。

チカラくんは大学のときから一方的に好きだったみたいだけど
それにしたって社会人でばったり会ってファミレスで朝までデートするか?


「チカラくんのこと貶していいのは私だけ!」とかツンデレなの?娘と喧嘩する理由それでいいの?


アカリちゃんがチカラくん好きすぎてビックリする。


3話のマリア回でマリアさんに妬いて見た目色々変えてみるのにチカラくんまったく気づかない!!チカラくん、きみはラノベ主人公出身だったりするのかい???



しまいにはあんなに好かれてるのに「不倫!?」てなるチカラくん、そういうとこやぞ。
アカリちゃんが家出てって泣いた理由も聞いたのに不倫を疑うんじゃないよ。



アカリちゃんがチカラくんを許してしまうのは自分も似たところがあって、結局人助けにやぶさかではないから。
チカラくんが危ない目に遭うわけじゃなければ、きっとアカリちゃんはずっとそれでよかったんだと思う。

でも「私の話聞いてよ!」をチカラくんに察しろというのは酷。声を上げないとチカラくんは気づかないよラノベ鈍感野郎だもの……。
結果、家を出るという暴挙に至るわけですが。



チカラくんはおかしいと思ったら結構言い返す。
過去にも喧嘩したことがどうやらあるらしいし、愛理や高太郎もチカラくんがキレてトイレに籠ったところをみたことがあるらしい。

以前一体なにがあってぶつかったことがあるのかはサッパリわからないが、チカラくんは一体どういう面でストレスが溜まったら相手にぶつけることになるのか。
アカリちゃんへの甘え?



どっちにしろチカラくんもアカリちゃんも共にお互いへの甘えが無意識レベルで凄いんだよなぁ可愛いね。





チカラくんって最初は「待てや」って思うことだらけのアラフォー男だったし、最後もちょっとしっかり度あがって父親からの “呪い” に決着をつけられたにしろ、そこまで凄いのびしろがあったわけじゃない。

むしろマイナスが0になったくらいの男な気がしてる。

だというのに、話数が進み最後は「チカラくん可愛いなぁ」という最早年齢とか関係のない、小動物的なものをみるような目でみていたのでアカリちゃんも「チカラくん可愛い」と思う瞬間があってあんなにベタ惚れなのかもしれない……!と思いました。


かっこいいは引き返せるけど、可愛いは手遅れっていうやん?





やっぱりキャラクターに入り込ませてちゃんと「チカラくん」を好きにさせてくれる潤くんの計算されているのに物にするお芝居大好きだなって思います。
初回とかチカラくんにイライラする人も多かったと思うんですけど、それだけ徹底されてるんですよね。

歩き方、走り方、座り方。
今回はその全部が松本潤とは対極にいるような役柄で、本当に面白い役でした。


ツイッターのオフショや、時々WSで流れていたメイキング、特番など、チカラくんの衣装を着てヘアセットもまさにチカラくんのまんまでいるのに、お芝居していないときは全くチカラくんではないんですよ。

チカラくんのときはボサッとして頼りなさげで格好もあまりつかない。

でも普通に長尾くんとしゃべってるときとか「オーラ~~~~!」って思うし。


途中チカラくん自身が少し調子乗って自信がついてきたとき、主にあの木次父に殴られる場面なんか、微妙に強さみたいなものが見え隠れしたと思うんですよ。
あれはちゃんと元々「強さ」を持っている潤くんだからなんだよな、と。
ない人にはどこまでいってもないので。


すっごい低いラインでの繊細なチカラくんの成長もしゃべり方とかトーンとか表情にのっていて、ついでにハイパー可愛い表情もたくさんあって、オタク的な見所はたくさんありましたね!



「おかえり!」は可愛いので拡大して玄関に貼りてぇな。
実家だから無理だけど。









※※※

以下、脚本設定にわりと批判的につっこんでいくので嫌な人はバックしよう!




設定の詰め方ガバすぎてどこをどう拾っていけばいいのかわからん。
ご都合的なところがあまりにも多い。

そのセリフを言わせたいがための何かを話数ごとにセットされると、トータルでみてるこっちは「ええー……」ってなるんですよね。


わかりやすくいうと、愛理の名付けの理由の話。
8話まできて突然「レゲエが好き」とか明かされて、それがただのここに来ての面白要素くらいなら全然良かったんですよ。
それが「娘の名前はレゲエ好きから取ってます!」って言われても、そんなに決まってるならちゃんと1話から要素入れませんかね!!?!!!?ってなるわけです。
少なくとも私はなった。

最重要ポイント的な、1話からある愛理のことを解決するのに突然8話でポッと出された設定持ってこられても視聴者側に何の思い入れもない。


高太郎も同じく。チカラくんが小説家になったのは小3の頃に本に目覚めたかららしいが、高村光太郎の本が置いてあるとかいうこともないし、小説家目指してゴーストライターやってるとこだけじゃ思い入れないんですよ。
チカラくんの思い入れを視聴者側が感じ取れなくてどこに気持ちの盛り上げ寄せたらいいんだよ……!



8話のあのシーン、ちゃんと1話から要素がちゃんと散りばめられてたら絶対もっと良いシーンになりました。



さて、その1話。

ご都合的なところでいうと、やっぱ導入の回収なさすぎますよね。
受験期みたいな中途半端な時期に何故引っ越す。何故転校させる……?
前に住んでいたところのトラブルでは今回みたいな成長はなかったんですか?

とか。


中越家の直近の過去があまりにも、あまりにも薄い。
「この話のために引っ越してきました」
「ここからがスタートなのでその前段はありません」


つっこみどころしかない。

チカラくんがこのドラマの中では洗濯物が畳めず「またやっちゃった」って言ってますが、結婚して15年ですよ。
それが途中「できた!」と言い出し、最終話では普通に畳んでる。


ここに引っ越ししてきて初めて洗濯物を畳んだわけじゃないんだよな???


あまりにも引っ越してくるまでの「前日」がない。
過去はあっても前日がない。
超気になる。


ドラマだしそんなのご都合主義と言われればそうなんですが、あまりにもご都合で設定が飛び出しすぎていて飲み込みきれないんですよね。



主人公の能力値的なところとか偶然性が主人公補正かかってるのはいいんですが、舞台設定までご都合持ってこられるとなかなか……。


マンション覗いてるシーンはオマージュシーンって言われれば納得なんですが、オマージュってみんなが共通認識で持ってるということ含めつつ、その上でそれを知らなくて現代価値観にも成立してないと正直今のドラマでは難しい。


マンションみてるときの向かいのカフェからの距離感と、上条くんの保護司に追い付くタイミング考えたら距離盗みすぎてることくらいしか許せてない。

松本潤の顔じゃなかったら許されてねぇぞってシーンも多々あるよね




探せばキリがないほどの脚本の粗みたいなものがどうにも現代のドラマ価値観にはそぐわない。
最新の感じでいってるつもりで、男女価値観的にはちょっと古いな……ってところもありますし。もちろん世代によってはまだゴリゴリそういう考えからアップデートされてないから現実としてあってるのかもしれないけど。


現代の社会問題っていうところも、足湯くらいの感覚。
考えるきっかけになること、まだまだ答えが出てない問題であるということもわかるけど、それならもう少し突っ込んだ問題提起をしてそこにちゃんと重みが欲しかった気がします。



セリフセリフ、パーツパーツを抜き出すと刺さる部分って凄くあったと思うんです。
愛理の作文とか、「世界中の人がとなりの人を家族みたいに思えたら」とか、「暴力は敗北」とかも、喜ばしい状況とは言えない今に刺さるセリフでした。

チカラくんの優しさを搾取しにきて「結局となりの人に声なんかかけない方がいいじゃないか!」みたいな瞬間もあったりしたけど。





結論、作品全体でストーリーの一貫性と波を作れれば、伝えたいことはもっと多くの人に届いた。

遊川氏の中では繋がってたのかもしれないけど、こっちとしては繋がりきってなかった。
同人じゃないんだから受け手がちゃんと受け取れる形にする必要がある。


でなければ副音声で解説つけた方が良かったですね




なお、これはアラサーの1人がみている現代価値観の話なので、もっと若い人にはもっと違和感がある場面やセリフがあったんじゃないかとも思ってます。

それぞれの尺度で見方が変わりはするけれど、ドラマとしての波があまりになさすぎたことだけは確かかと思います。



あと美男美女はちゃんと美男美女として生かした方がよかったですね